4月15日は「よい いごん」と読めるということで、2007年より、日本弁護士連合会が「遺言の日」と定め、各地の弁護士会で記念行事が開催されることが多いようです。
ちなみに11月15日は「いい いごん」で「いい遺言の日」です。
それでは「良い遺言」に対し、「悪い遺言」(無効になってしまうかもしれない遺言)とは、いったいどういうものでしょうか。
今回はクイズ形式で皆様にお尋ねいたします。
Q.下の5つのうち、悪い遺言はどれでしょうか。
① 認知症の診断を受けている父に頼み、自分に有利な内容の遺言書を書いてもらった
② 長男に墓守りをしてもらいたいので、「長男には少し多く分けるようにしてください」と遺言書に書いた
③ 利き手が不自由になったので、遺言書を夫に代筆してもらった
④ 不動産がたくさんあって自筆するのが面倒だったので、遺言書のすべてをパソコンで書いた
⑤ 遺言書を書いた日は桜が満開だったので、日付として「令和3年桜満開の日」と書いた
さて、いかがでしょうか。
もしかすると簡単な問題だったかもしれませんね。
これらはすべて悪い遺言、つまり無効になってしまうかもしれない遺言なのです。
①のように、認知症になってから書かれた遺言書は、後日、作成時点で判断能力の有無が争われてしまう可能性があります。
しっかりと意思が表明できる間に作成していただくようにしましょう。
②の「少し多く」では、具体的な数値が不明確なので、無効な遺言となる可能性が高いです。
たとえば「長男には5分の3、長女と二男には5分の1ずつ」のように、分け方をはっきりと書いた方が良いですね。
③と④にある、代筆やパソコン作成は原則的には認められません。
ただし、秘密証書遺言の場合や遺産目録だけをパソコンで作成することは認められていますが、形式はとても厳格ですので、注意が必要です。
⑤のように、「桜が満開の日」や「大安」など、縁起を担いだ表現をしたいというお気持ちはとてもよくわかりますが、どこで満開になった日なのか、いつの大安なのかなど、書かれた日が特定できませんので、無効になってしまいます。
遺言の一部をパソコンで作成できるようになったとはいえ、遺言書の形式はとても厳格です。
せっかく考えた遺言が無効にならないためには、実際に書く前に、または下書きをされたところで、弁護士などの専門家にしっかり相談、または依頼されることをお勧めいたします。
また、遺産の中でも不動産が多かったり、複雑な遺産の分け方を希望する場合は、公正証書にした方が安心です。
公正証書遺言を作成する場合、体調がすぐれなかったり、お身体が不自由であっても、公証人がご自宅などに出張してくださいますし、自署(サイン)が難しい場合は公証人が代筆してくださることがあります。
一新総合法律事務所では、公証人への諸連絡の代理や証人(公正証書遺言の場合は証人が2名必要です)も承ります。
是非お気軽にご相談ください。
「良い遺言」の根底には、遺された人たちを大切に想う気持ちがあります。
その気持ちを無駄にしないためにも、正しい形式で、しっかりと自分の想いを遺すようにしたいものですね。
◆遺言書作成・相続のご相談は初回無料です。
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