遺言執行者は、遺言の内容に従い、さまざまな手続を進めるわけですが、民法では、「遺言執行者は遅滞なく、相続財産の目録を調製して、これを相続人に交付しなければならない」と書かれています。
この「遺産目録の調製(作成)」についてですが、具体的には、
①不動産は法務局で登記情報を、預貯金であれば各金融機関で死亡時の残高証明を取得する
②家庭裁判所のホームページから、遺産目録のひな形をダウンロードする、あるいはひな形を家庭裁判所でもらってきて、そのひな形に入力あるいは記入する
などが主な内容になります。
遺産の内容がよほど複雑だったり多数でない限り、遺産目録を作成することはさほど難しいことでないかもしれません。
ただし、預貯金の口座が複数の金融機関に存在する場合はどうでしょうか。
各金融機関を回り、金融機関ごとに、遺言執行者または相続人の一人である旨を証明し、所定の用紙に所定事項を記載し、手数料を支払い、後日、残高証明書を自宅に送ってもらう、または店頭に取りに行って、証明してもらった内容を正確に一件ずつひな形に転記して…。
と、ちょっと考えただけでも「面倒!」と思われませんか。
そして次のハードルは、相続人への「交付」です。
相続人の一人が遺言執行者で、相続人間で争いが生じる可能性が低そうな場合は、四十九日法要などの際にでも、調製した財産目録を直接手渡せば足りると思いますが、明らかに一部の相続人に対する相続分が少ない内容になっている遺言書だった場合はどうでしょうか。
法要が終わった会食の席で、親族間で言い争いになることが容易に想像出来そうですね。
2019年7月施行の民法改正では、「遺言執行者は自己の責任で第三者にその任務を負わせることができる」とされました。
つまり、
- 仕事が忙しくて、遺言執行手続まではとても手が回らない
- 高齢なので、外出がなかなか難しい
- 金融機関や不動産の所在が遠方だったり、数カ所に散らばっている
- 普段連絡を取っていない親族に連絡するのは億劫
などなど、「自分で全ての手続を行うことはとても無理!」と思ったときには、自分以外の誰かに、遺言執行者の業務を依頼してもいい、ということになったのです。
当事務所ももちろんこの「第三者」にあたります。
新潟県内5拠点の事務所で広くカバーできますし、関東在住の方は東京事務所にご相談頂ければ、新潟や長野のご両親やごきょうだいの遺言執行手続を代行することができます。
手続をどのように進めたらよいのか、また、サポートしてもらえる人はいないかなど、遺言執行手続に悩んだり迷ったりした際には、当事務所に是非ご相談ください。