(事案)
Aさんは40代の男性です。
このたび、Aさんの父が亡くなりました。
Aさんは、父の近所で生活していて、父が亡くなるまでは、収入の乏しい父に対してしばしば生活費を援助したこともありました。
そのため、父に財産がないことと、かえって父が消費者金融などに借金を抱えていることを知っていました。
実際に、Aさんが父の死後に父の住んでいたアパートの部屋を訪ねてみたところ、消費者金融との取引の証書など、借金があることを推測させる書類がたくさんありました。
Aさんは、裁判所に相続放棄という手続をすることによって債務を相続せずに済むということをテレビで見たことがあったので、弁護士に相談しました。
弁護士は、Aさんから詳しく事情を聞き取った上で、Aさんの考えているとおり相続放棄を行うべきだということをアドバイスしました。
さらに、Aさんは弁護士に対し、相続放棄の手続の代行を依頼しました。
そこで、弁護士はAさんに代行して、必要な情報の調査や書類の収集などを行い、家庭裁判所に対して相続放棄の申述を行いました。
申述は無事に受理され、Aさんは、父の債務を受け継がずに済みました。
(弁護士の解説)
親族が亡くなり、相続が生じると、財産だけでなく債務(借金など、マイナスの財産)も相続され、場合によっては相続人が多額の借金を負うことになることもあります。
そのような場合には、相続放棄の手続を行うことが有効です。
相続放棄の手続を行い、それが家庭裁判所で受理されると、その人ははじめから相続人ではなかったという扱いになり、相続によって借金を引き継ぐことはなくなります。
ただし、亡くなった方(被相続人)に借金だけではなく財産もあったという場合には、その財産についても引き継ぐことができなくなりますから、債務と財産とをよく調査したうえで検討することが必要です。
また、相続放棄の申述には期限があり、民法により、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならないと定められています。この点についても十分注意が必要です。
詳しくは、当事務所の弁護士にご相談ください。