前回、「ビデオ通話のように、カメラ越しなら話しやすいという利点もありそうです」と書かせていただきました。
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電話よりビデオ通話?
「オレオレ詐欺」に代表されるように、電話での声色はあまりアテになりません。
毎日のように会ったり、電話で話をしていれば、このようなことは起こりにくいはずで、子や孫のような声を久しぶりに聞いたからこそ、まんまと詐欺師に騙されてしまうというわけです。
相手を顔と声で確認できれば、このような詐欺は少なくなるでしょうし、ビデオで顔が見えることによる安心感で、照れながらも親子間の会話が弾むということが期待できます。
とはいえ、まだまだビデオ通話は気軽なツールとはいえないですし、カメラで自分の姿が映ることを好まない方も多いので、新しいモノ好きだったり、小さいお子さん、お孫さんの顔が見たい!という人に限定されるのかもしれません。
親の心子知らず…
オンライン帰省で喜ぶ親や祖父母たちの様子を見ていると、私たちが思っている以上に、もっと子どもや孫たちと話をしたい、会いたいと思っていて、さらにもし出来ることがあれば、手助けしてあげたいと考えていることが窺い知れます。
そして子供や孫たちも、そんな親たちの気持ちを薄々わかっていながらも、何か用事でもない限りは、自分から連絡をするのは億劫になりがちです。
また用事があって電話をしたところで、話が続かず、あっさり「じゃあね」となっていることが多いように思います。
日頃そんな会話しかしていないような状況にも関わらず、久しぶりに帰省した子どもや孫たちから、いきなり財産状況について聞かれたり、ましてや「遺言書を書いて欲しい」と言われたときの親や父母の気持ちはどうでしょうか。
「久しぶりに会ったのに財産の話ばかりする(泣)」「遺言書なんて書くものか(怒)」という感じでは?
一方、子どもや孫からすると、「親や祖父母のことが心配で、忙しい中、帰省してやったのに(哀)」、「せっかく大事な話をしているのに、怒ってばかりで話にならない。気が短くなったなぁ(落胆)」というところでしょうか。
非常に残念で悲しいすれ違いです。このような心のすれ違いが続けば、親子の関係性は悪くなる一方です…。
まずは話す機会を増やすこと
これまでは、電話で話すことすら滅多になく、一ヶ月、数ヶ月に1回だった帰省が、ビデオ通話によるオンライン帰省で頻回になれば、日常的な会話、たとえば、昨日何を食べたかなどの些細な話が少しずつ増えてくるでしょう。
会話をすることは、高齢者の方にとっては認知機能低下防止にもなりますし、何を考えて、どのような暮らしをしているかなどがわかるようになります。
ただ、いくらビデオ通話が便利だからといっても、それだけに頼り続けることは避けなければなりません。
機器の使い方に慣れていない方が多い上に、ビデオ通話にはタイムラグがあるため、会話にズレが生じ、ストレスを感じる方もいらっしゃいます。
あくまでも、会って話をすることができない時の便利ツール、会えるときまでの「繋ぎ」として考えていきましょう。
話を「聴く」ことの大切さ
前回書かせていただいたとおり、親と会える時間は皆様が思っている以上に少ないです。
afterコロナ下で実際に会えた時には、限られた時間ではあるでしょうけれど、まずはじっくりと親や祖父母の話を「聴く」ことを中心に時間を割いた方がよいと思います。
「遺言書を書いて欲しい」というような自分の考えを、性急に・一方的に通そうとする前に、まずは相手の話をじっくりと聴くことが大切です。
次回は、話す機会が増え、話を聴くことができた後、どうやって自分の想いを伝えていくのか、についてお伝えしたいと思います。