コラム

2024.02.06

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基礎知識

相続登記をしないとどうなる?手続きをしない場合のリスクについて

1.相続登記が2024年4月1日から義務化されます!

不動産(家や土地)の所有者が亡くなって相続がなされたとき、その不動産の所有者が変わったことを公に示すために、法務局で登記簿上の所有者を故人から相続人に名義変更する必要があります。

この、相続に基づいて不動産の名義変更をおこなうことを、「相続登記」(相続を登記原因とする所有権移転登記)といいます。


このたび法改正によって、2024年4月1日から相続登記が義務化されることとなりました。

本コラムでは、相続登記が義務化されたことによる変更点や、相続登記手続きをしないことで起こりうる問題点についてくわしく解説します。

■このコラムでわかること
・相続登記義務化によって変わること
・相続登記手続きをしないことで起こりうる問題

相続登記の義務化で変わった点

相続登記の義務化により、これまで任意だった相続登記に期限ができ、相続を知った日から3年以内に登記を済ませなければならなくなりました。

改正された法律が施行されて義務化が始まるのは、2024年(令和6年)4月1日からです。

法改正前に既に発生していた相続にも、この法改正は適用されます。

\もっと詳しく/
相続登記の義務化|対象となるのはいつから?手続きの方法や、手続きをしなかった場合のリスクについて

2.相続登記をしないとどうなる?

①相続登記しない場合には罰則がある

相続登記をすべき人が、正当な理由がないにもかかわらず期限までに登記申請をおこなわなかった場合、10万円以下の過料が科せられます。
「過料」とは、行政上の秩序の維持のために、違反者に制裁として金銭的負担(罰金)が課せられるものです。

刑事罰とは違って前科にはなりませんが、法律違反に対する罰であり、可能な限り避けるべきといえるでしょう。

②不動産の売却や、不動産を担保にして融資を受けることができない

相続した不動産の相続登記をしないまま、登記名義人を故人のままにしていると、いざ売却したいと思ったときに売却することができません。

また、不動産を担保として融資を受けようとする場合も、登記名義が故人のままでは担保として受け付けてもらえません。

③差押えや不当な売却をされてしまうリスク

例えば、相続人が複数いる中で、そのうちの一人(Aさんとします)が遺産分割手続きによってある不動産を相続したものの、相続登記をしていなかったとします。

他の相続人(Bさんとします)が借金を抱えていて、返済が困難になってしまった場合に、Bさんが遺産分割の前に有していた持分を差し押さえられたり、他人に売り渡したりしてしまったら、差押えや売却の方が遺産分割に優先してしまい、Aさんは自分の権利を主張できなくなってしまう可能性があります。

相続登記を適切におこなった後であれば、他の相続人との関係での差押えや不当な売却のおそれはなくなります。

3.すぐに相続登記ができない、相続したくない場合‐新たな制度を利用

遺産分割協議がまとまらずに長引いてしまっている場合や、相続したくない不動産がある場合には、新たな制度の利用を検討しましょう。

相続人申告登記

相続人申告登記とは、①不動産の登記簿上の所有者が亡くなって相続が開始されたこと、及び、②自分がその相続人の一人であることを法務局に届け出る手続きです。

相続人申告登記は、相続人のそれぞれがする必要があります。

※2024年4月1日から開始

相続土地国庫帰属制度

相続土地国庫帰属制度とは、相続財産の中に相続人にとって不要な土地がある場合に、一定の要件をみたせば国に引き取ってもらうことができる制度です。

相続により土地の所有権を取得した相続人(共有の土地の場合は所有者全員)が申請することができます。

相続土地国家帰属制度を使うためには、法務局での申請手続きや、申請の際の審査手数料、審査が通った場合には負担金を納付する必要があります。

\もっと詳しく/
相続土地国庫帰属法とは? 土地の要件と手続きについて解説

相続登記の手続きについて

相続登記の手続きは、対象となる不動産を管轄する法務局に、登記申請書とその他の必要書類(戸籍関係書類、遺産分割協議書または遺言書、住民票写しなど)を提出することでおこなうことができます。

また、不動産の評価額に応じた登録免許税を納める必要があります。

相続したまま放置している不動産でお悩みの方

相続登記の義務化に伴い、遺産分割など、相続登記に至るまでの相続手続きを先延ばしにすることが難しくなりました。

また、相続した不動産を放置しておくとさまざまな問題が発生する恐れもあります。

相続した不動産や遺産分割協議などでお悩みやご相談などがございましたら、まずは当事務所までお気軽にご連絡ください。

この記事の監修者

弁護士 海津 諭

海津 諭
(かいづ さとる)

一新総合法律事務所 
理事/弁護士

出身地:新潟県新潟市 
出身大学:京都大学法科大学院修了
新潟県公害審査委員、新潟県景観審議会委員を務めています。
主な取扱分野は、相続全般(遺言書作成、遺産分割、相続放棄、遺留分請求など)です。そのほか、離婚、金銭問題、その他トラブルなど幅広い分野に精通し、相続・生前対策セミナーの講師を多数務めた実績があります。
また、『月刊キャレル』(出版:新潟日報事業社)に掲載のコーナー「法律相談室」に不定期で寄稿しており、身近な法律の疑問についてわかりやすく解説しています。

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