1.戸籍謄本とはどんな場面で必要?
1-1 戸籍とは?
戸籍は、出生、婚姻、死亡などの個人の一生が記録されている重要な公文書であり証明書です。
戸籍は記載された本人の存在を示し、親族関係等の身分を証明します。
婚姻関係、親子関係、親族関係を確認できます。
戸籍には本籍地が書かれており、本籍地とは、戸籍のある場所をいいます。
本籍地以外の戸籍の記載事項は次のとおりです(戸籍法第13条)。
① 氏名
② 出生の年月日
③ 戸籍に入った原因及び年月日
④ 実父母の氏名及び実父母との続柄
⑤ 養子であるときは、養親の氏名及び養親との続柄
⑥ 夫婦については、夫又は妻である旨
⑦ 他の戸籍から入った者については、その戸籍の表示
⑧ その他法務省令で定める事項
1-2 戸籍謄本と戸籍抄本の違い
戸籍謄本(とうほん)とは戸籍の原本全部の写しであり、抄本(しょうほん)とは原本の一部の写しを意味します。
なお、現在の戸籍はコンピュータ化されており、謄抄本から呼び方が変わりました。
戸籍謄本は「戸籍全部事項証明書」、戸籍抄本は「戸籍一部事項証明書」と呼びます。
戸籍に記載された人物が死亡もしくは転出することによって、戸籍に記載の人物が全員いなくなった場合、その戸籍は除籍となり、全員いなくなった戸籍を除籍簿と呼びます。
1-3 戸籍謄本が必要となる相続手続
戸籍謄本は相続手続の際、たびたび必要になります。
遺産分割をする際、戸籍謄本がなければ、相続人全員を正確に把握することができません。
なお、法定相続情報一覧図を利用する方法もあります。
まれに戸籍の調査によって、誰も把握していない相続人が見つかることがあります。
土地等の不動産が遺産にあれば、移転登記のために戸籍謄本が必要な場合があります。
相続放棄や遺産分割調停等の家庭裁判所の手続を利用する場合も家庭裁判所に提出を要することから、戸籍謄本の収集が必要となります。
家庭裁判所の手続を利用する場合、事前にどの範囲の戸籍謄本が必要となるのか家庭裁判所のホームページをご確認ください。
手続の申立をするためには、戸籍謄本以外にも提出を要する書類があるので、戸籍謄本と合わせて収集する必要があります。
2. 戸籍謄本の取り寄せかた
2-1 まずは本籍地の確認が必要
戸籍謄本の取得申請をするためには、住所ではなく戸籍がある本籍地を事前に確認する必要があります。
本籍地がわからない場合は、本籍地付住民票を取得することにより、確認できます。
2-2 戸籍謄本の取得方法
戸籍謄本を取り寄せる方法はいくつかあります。
ただし、戸籍謄本は重要な個人情報を記載していることから、申請可能な人は限られています。
具体的には、戸籍に記載されている本人、その配偶者、直系尊属(父母・祖父母など)、直系卑属(子・孫など)等です。
※補足※以下のような場合は取得可能な範囲が広がります。
①自分の権利を行使したり、自分の義務を履行したりするために戸籍の証明書が必要な方
(例)相続手続が発生し、傍系親族(兄弟姉妹・おじ・おば・いとこなど)の方が法定相続人になる場合
②国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある方
③戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある方
① 役所の窓口で請求する方法
役所の窓口で直接申請する場合は、本人の本籍地のある役所の窓口に交付申請書を提出し、手数料を支払います。
印鑑と本人確認書類(運転免許証・パスポート・マイナンバーカード・住民基本台帳カード(顔写真つきのもの)など)が必要です。
ご親族が代理人として申請するときは委任状が必要です。
詳しくは申請先の役所のホームページをご確認ください。
② 郵送で取り寄せる方法
戸籍謄本の取得は郵送でも可能であり、本籍地が遠方の場合に有用です。
役所のホームページで手続をご確認いただき、必要な書類、定額小為替などの手数料、返信先を記載した返信用封筒、その他必要な書類を市区町村役場の担当部署に送付します。
取得まで10日程度の日数がかかりますので、お急ぎの際は速達郵便をご利用ください。
③ 専門職が代理人として請求する方法
弁護士や司法書士・税理士などの代理人が受任案件の業務の遂行のために必要がある場合は、戸籍法上請求が認められているので、戸籍謄本を取り寄せることができます。
④ コンビニ等で発行する方法
コンビニ等の一部の事業者では、マルチコピー機を利用した戸籍謄本等の証明書を印刷できるサービスを提供しています。
サービスを利用するためには、マイナンバーカード(個人番号カード)が必要になります。
ご自身がサービスを利用できるかについての詳細は、発行を求める役所(戸籍謄本であれば本籍地)のホームページをご確認ください。
3.戸籍謄本を取り寄せるときの注意点
3-1 何が記載されている戸籍謄本が必要かきちんと確認すること
戸籍謄本を取り寄せる際に、どの範囲の戸籍が必要か確認しましょう。
家庭裁判所の手続であれば、家庭裁判所の手続を説明したホームページを確認する必要があります。
用途に合わせた戸籍謄本を取得するために重要です。
3-2 戸籍謄本には有効期限がある
戸籍謄本そのものに有効期限はありません。
ただし、利用する手続によっては戸籍謄本の期限があります。
戸籍に記載された親族関係の情報は変動する可能性があり、戸籍謄本が証明する内容はあくまでもその戸籍謄本を取得した日の戸籍の内容です。
戸籍謄本の取得日から一定の期間が経過した場合、親族関係の変動の可能性があることから、最新の戸籍謄本の提出を求められることがあります。
3-3 多くの場合、複数箇所からの取り寄せが必要
相続手続などで必要な場合、複数の戸籍謄本を取り寄せることがあります。
複数の本籍地に戸籍を取り寄せる請求をしなければならないため、時間がかかります。
親族関係が複雑になっている場合は、取り寄せに手間がかかります。
4.相続手続を弁護士に依頼するメリット
4-1 相続手続にかかる時間と労力を省く
弁護士事務所に相続手続を依頼することで、手続にかかる時間と労力を削減できます。
弁護士事務所では、戸籍謄本の取得や財産資料の取得等を権限の範囲で代行することができます。
また、経験に基づいて必要な範囲で資料の収集を行います。
さらに収集した資料に基づいて、選択できる相続手続をご提案いたします。
4-2 戸籍謄本以外の手続きもまとめて依頼できる
弁護士事務所は戸籍謄本だけでなく、相続手続に必要な資料を集めることができます。
例えば、戸籍謄本以外にも案件の処理に必要な住民票の取得や相続財産の調査をするための資料の収集を行うことができます。
銀行や証券会社など相続財産が各方面に多くある場合には、弁護士事務所がその照会を代行することにより、資料収集のご負担を軽減することができます。
家庭裁判所の手続を利用する場合には、その必要な資料を調べ、収集から申立、申立後の手続きの進行まで、可能な範囲で代わりに行うことができます。
弁護士は家事手続代理の権限があることから、ご本人の代理人として家庭裁判所の手続きも行うことができます。
ご本人の代わりに家庭裁判所とのやり取りも代理できることが弁護士に依頼するメリットの一つといえます。
4-3 万が一の相続トラブルにも早急に対応できる
相続トラブルにも様々ありますが、家庭裁判所からの連絡一つであっても、家事手続に慣れていない方であれば、どのように返答するべきか悩みが生じます。
弁護士事務所であれば、どのように回答をすればよいか検討の上で対応することができます。
遺産分割の中で交渉が必要な場合や法的な判断が必要な場合は、専門職の経験と知識が有用といえます。
また、家庭裁判所における家事手続となった場合、弁護士であれば事前の準備だけでなく手続に同席することが可能です。
弁護士事務所は相続トラブルとなった場合だけでなく、遺言書作成などの事前の紛争防止対策も行うことができます。
事前事後のトラブルを防止するためにもご不安なことあればぜひ弁護士事務所へのご相談をご検討ください。
相続・遺言・生前対策などのご相談は0120-15-4640までどうぞお気軽にお問い合わせください。