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2021.05.12

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弁護士コラム「自筆証書遺言の保管制度について~メリットと注意点~」(弁護士:吉田 明恵)

1 はじめに

皆さんは、自身が亡くなった際に、誰に、どのようにして遺産を遺したいと考えておられるでしょうか。

それを実現する一つの制度が「遺言」です。 

 

昨年(令和2年)7月10日から、法務局における「自筆証書遺言」の保管制度が開始されました。

法務省が公表したデータによれば、制度開始から本年(令和3年)3月までに、全国の法務局で1万6655通の自筆証書遺言書が保管されています。

 

「自筆証書遺言」とは、遺言者本人が、遺言書の全文(財産目録を除く)、日付及び氏名を自書して作成する遺言書のことです。

このほかに、法律の専門家である公証人の関与の下、証人2名が立ち会って作成する「公正証書遺言」もあります。

 

「自筆証書遺言」は、「公正証書遺言」と比較して、紙と筆記用具と判子があれば、一人で作成できるので、費用が掛からず、簡単に作成することが出来ます。

一方で、「自筆証書遺言」については、従来から、遺言書を紛失するリスクがあること、相続人等により遺言書が廃棄、隠匿、改ざんが行われる恐れがあることなどの問題点が指摘されていました。

 

このような問題点を解消するために、創設されたのが「自筆証書遺言」(以下、「遺言書」と言います)の保管制度です。

 

今回は、この制度について解説します。

 

2 遺言書の紛失、相続人等による破棄、隠匿、改ざんの恐れがない

法務局が遺言書の原本を保管してくれるので、当然、遺言書を紛失したり、相続人等により破棄、隠匿、改ざんされる恐れもありません。

法務局が保管している遺言書は、遺言者が死亡したら、相続人等が、法務局に対し、遺言書の内容に関する証明書(これを「遺言書情報証明書」といいます)の交付請求を行うことにより、その内容を知ることが出来ます。

この証明書が遺言書の原本の代わりとなり、相続登記や預貯金の解約等に使用します。

 

なお、そもそも、お亡くなりになった方が遺言書を法務局に預けたのかわからない場合には、法務局に遺言書の保管の有無を確認することもできます。

 

3 検認の手続きが不要となる

さらに、「自筆証書遺言」の場合、遺言者がお亡くなりになったら、「検認」の手続きを取る必要があります(「公正証書遺言」の場合は、検認手続きは不要です)。

 

「検認」とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です(遺言書の有効・無効を判断するものではありません)。

この手続きは、家庭裁判所において、裁判官の面前で行います。

 

法務局において保管されている遺言書について交付される「遺言書情報証明書」は、検認の手続きを行う必要がありません。

面倒な手続きを省略できる点でもメリットがあると言えます。

 

4 法務局が遺言の内容について助言してくれるわけではない

ここまで見てきたように「自筆証書遺言」の保管制度は、自筆証書遺言の安価に・簡単に作成できるという点はそのままに、従来の問題点をカバーし、検認の手続きも省略することが出来ます。

 

もっとも、法務局は、あくまで遺言書を保管するだけです。

当然のことながら、遺言書の内容の良しあしについてまで確認、助言はしてくれません。

 

「自筆証書遺言」は、必ずしも専門家の関与のもとで作成するものではありません。

そのため、たまに、何が言いたいのかよくわからない遺言書を見かけることがあります。

多義的な言葉が使われていていたり、いろいろと内容を詰め込み過ぎているがために、一番重要な、誰に、どの財産を、どれだけ残したいのかがよくわかないということがあるのです。

 

遺言書は、遺言者がお亡くなりなったことにより、その効力が発生します。

遺言者本人がいないので、改めて本人の意向を確認することはできないので、結局、遺言の内容を実現できないこともあります。

この点、冒頭でご紹介した「公正証書遺言」は、法律の専門家の関与のもとで作成するものなので、上記のリスクがほとんどありません。

 

当事務所に公正証書遺言の作成をご依頼いただいた場合には、まず弁護士のほうでご依頼者様のご要望を丁寧に聴き取り、それが実現できる遺言の内容を考えます。

そのうえで公証人との連絡調整を行い、ご希望のより公正証書作成の当日に弁護士が証人として立ち合います。

 

以上のように公正証書遺言の場合、作成過程に、法律の専門家である弁護士・公証人が関わるので、より完成度の高い遺言書を作成することが出来ます。

 

5 さいごに

自筆証書遺言の保管制度自体は、従来の問題点を補うものとして有効だと思いますが、法務局が内容の良しあしについて助言してくれるものではないことはよくご理解いただく必要があります。

 

以上を踏まえ、自筆証書遺言にするか、公正証書遺言を作成したほうがよいか迷ったら、是非、遺言書をお書きになる前に一度弁護士にご相談ください。

 

この記事を執筆した弁護士

弁護士 吉田 明恵

一新総合法律事務所
弁護士 吉田 明恵

一新総合法律事務所 新潟事務所所属。2015年弁護士登録。
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