【事案の概要】
相談者は50代の男性です。
このたび、相談者の父が亡くなりました。
相続人は相談者のほかに、相談者の母と弟がいます。
相続人の関係は円満であり、法定相続分のとおりに分けることに争いはありません。
しかし、相談者と母、弟は、父が生前インターネット経由で株取引をしていたことまでは知っていたものの、具体的にどこの会社の株があるのか、また、どのように確認したら良いのかが分からず、当事務所に相談にいらっしゃいました。
相談者には、証券会社から父宛てに届いた封書または父の確定申告の控え書類が家にないか、また、父が使用していたパソコンのブックマークや閲覧履歴に証券会社のWEBサイトがないか、という点について調べてみるよう助言しました。
相談者と家族が家を探してみたところ、父の私室から、証券会社から届いた封書が見つかりました。
また、パソコンのブックマークに同じ証券会社のWEBサイトが登録されていました。
これで父が使っていたと思われる証券会社は分かりましたが、証券会社のWEBサイトにログインするIDとパスワードが不明なため、現在の保有株式の詳細までは分かりませんでした。
そこで、弁護士は相談者から相続財産調査の依頼を受けたうえで、証券会社に対し、相談者の父の保有株式及び預り金の残高を開示するよう照会しました。
その結果、その証券会社の口座で管理されていた父の株式と預り金の詳細を把握することができました。
【弁護士の解説】
亡くなった人(「被相続人」といいます。)が株式を保有していた場合、その株式は相続の対象となります。
相続人としては、どこの会社の株式が何株あるのかを確認する必要があります。
この事案のようにインターネットで株取引が行われていた場合、証券会社がどこかが分かれば、その証券会社に対して照会を行って、被相続人の保有株式や預り金を開示してもらうことができます。
一般的に、証券会社に口座を開設して株式を保有している人は、証券会社から、「年間取引報告書」といった名称の書面が封書で年1回届きます。
また、確定申告の控え書類に、証券会社名が記載してあったり、上記報告書のコピーが添付されていたりすることもあります。
そこで、この事案のように、証券会社が分からない場合は、被相続人宛てに届いた封書や確定申告書類の控え書類を探すことが有効です。
また、この事案のように、被相続人がインターネットで証券会社を利用していた場合は、パソコンのブックマークや閲覧履歴を調査することで証券会社が分かることもあります。
どうしても証券会社がどこかが分からない場合は、「証券保管振替機構」に対して照会を行うことで、被相続人が口座を有していた証券会社を把握することもできます。
当事務所では、相続人から相続財産調査のご依頼をお受けして、どのような財産があるかを調査する手続の負担を減らすこともできます。
お気軽に当事務所の弁護士にご相談ください。