【事案の概要】
Aさんは40代の男性です。
この度、父が亡くなりました。
Aさんは、相続人に連絡を取って遺産分割の話し合いをしなければならないと思いましたが、他の相続人は父の前妻の孫であるBさん、Cさんの2人であるところ、Aさんはその2人の住所も電話番号も知りませんでした。
そこで、Aさんは当事務所の弁護士に、遺産分割協議の手続を依頼しました。
弁護士は、Aさんの代理人として、まずは市役所で戸籍の附票を取得し、BさんとCさんの住民登録がどこになっているかを確認しました。
その結果、Bさんについては住所が分かったので、弁護士はBさんに対して手紙を送付して連絡を取り、遺産の分け方を提案しました。
そして、Bさんとの話し合いの末に、Bさんから適正な額で相続分の譲渡を受けることができました。
他方、Cさんについては、住民登録が「職権消除」とされていて、住所を知ることができませんでした。
そこで、弁護士は裁判所に、「不在者財産管理人の選任申立て」という手続を行い、Cさんの代わりとなってCさんの財産を管理する「不在者財産管理人」を裁判所から選任してもらいました。
その後、弁護士は、不在者財産管理人との間で遺産分割協議を行い、適正な分割割合で遺産分割の手続を完了することができました。
【弁護士の解説】
亡くなった方の相続人は、遺産を分けるために、他の相続人との間で話し合いを行う必要があります。
これを、「遺産分割協議」といいます。
他の相続人の住所が分からない場合、弁護士に依頼していただければ、上記の解決事例のように戸籍の附票を取得して住民登録を確認することができます。
そして、住所の判明した相続人に連絡を取って、遺産分割の話合いを行います。
他方、上の例のように何らかの理由で住民登録が消除されているケースや、または適切な転入転出届をしていないために住民登録地と居住地とが異なっていて居住地が分からないケースがあります。
そのような場合には、裁判所に「不在者財産管理人」を選任してもらい、その不在者財産管理人との間で遺産分割協議をすることになります。