【事案の概要】
Aさんは70代の女性です。
このたび、夫が亡くなりました。
亡くなった夫の遺産としては、預貯金、Aさんの住む家と底地、そして他の宅地(更地)がありました。
Aさんは、これらの財産を分けるために、他の相続人であり夫の前妻の孫であるBさんと話し合いましたが、Bさんは、法定相続分よりも多い取り分を主張してきました。
Bさんは、裁判所の調停でも自分の主張を全く譲ろうとしませんでした。
そこで、当事務所の弁護士がAさんの代理人として、調停手続から審判手続への移行を行いました。
そして、審判の場において裁判官に対し、Aさんの希望する分割内容に基づいて、様々な主張を行いました。
その結果、裁判官は、Aさんの住む家と底地をAさんが相続すること、他の宅地を競売手続で売却すること、及びその売却代金と預貯金とを法定相続分に沿って各相続人が相続すること、という内容の決定を行いました。
Aさんは、希望どおり家と底地を相続して住み続けることができ、それに加えて、法定相続分に沿った適切な金額の金銭を相続することができました。
【弁護士の解説】
遺産分割の手続は、①協議、②調停、③審判、という3つのステップの順で行われます。
亡くなった方が遺した財産について、まずは相続人が分け方を話合い(①)、決まらないときは、「調停」という、裁判所での話合いの手続(②)が行われます。
そして、調停でも各相続人の合意が整わない場合は、「審判」という手続で、裁判官が財産の分け方を決定します(③)。
この事案のように、他の相続人が不当な取り分を主張してどうしても譲らないというときは、こちらが無理に譲歩する必要はありません。
審判手続に移行して、裁判官に適切な分け方を決定してもらうことができます。
なお、できるだけ希望どおりの財産を得るためには、裁判官に対して様々な事情の主張や立証をきちんと行う必要があります。
ぜひ、弁護士に相談・依頼した上で進めてください。