【事案の概要】
相談者は50代の男性です。相談者は、叔母から自筆で書かれた遺言書を預かっていました。
叔母が亡くなったため、相談者は「遺言書を預かっているがどうしたらよいか」と当事務所に相談にいらっしゃいました。
相談者には、自筆で書かれた遺言書は、開封する前に家庭裁判所で『検認』という手続きをする必要があるということを助言し、結果的に、叔母の相続についての手続全般を当事務所で対応することになりました。
まずはじめに、家庭裁判所で遺言書の検認手続きをとり、相続人立ち合いのもと遺言書の内容を確認しました。
遺言書の内容は、叔母の相続財産である預貯金を、相談者と叔母の兄弟姉妹に相続させるという内容でした。
遺言書には遺言執行者の指定がなかったため、家庭裁判所に遺言執行者選任申立を行い、弁護士を遺言執行者に選任してもらいました。
そして、当事務所の弁護士が、遺言執行者として各相続人に相続財産目録を送付し、遺言執行を行う旨を連絡しました。
その後、遺言書の内容のとおり、預貯金の解約等の手続きをとったところ、新たに叔母名義の預貯金が見つかりました。
こちらについても解約しようとしましたが、遺言書に記載がないため、金融機関で受け付けてもらえず、遺言書を資料としての解約はできませんでした。
そこで、各相続人に連絡をとり、新たに見つかった預貯金についても遺言書の割合で相続することを提案しました。
相続人全員から了承を得たので、遺産分割協議書を作成し、それをもとに預貯金を解約して、無事相続手続きが完了しました。
【弁護士の解説】
自筆証書遺言は封印の有無にかかわらず、家庭裁判所で検認の手続きを受ける必要があります。
遺言書は家庭裁判所で相続人等の立ち合いのもと開封しなければならず、勝手に開封してしまうと5万円の過料が課せられることがあります。
遺言書に遺言執行者の指定があれば、その方が遺言書の内容に沿った相続手続きをとることになります。
遺言執行者の指定がなくても認知や相続人の排除以外の手続きは、相続人でできますが、相続人の協力が得られない場合などは、家庭裁判所に申立て、遺言執行者を選任してもらうことができます。
この事例のように、財産に漏れがある場合は、遺言書のとおりの相続ができないことがあります。
また、自筆証書遺言には要件があり、要件を満たさない場合は無効となることがあります。
遺言書を作成する際は、無効にならないよう自筆証書遺言ではなく公正証書遺言で作成することをお勧めします。
公正証書遺言であれば、公証人が関与するので、形式の不備により無効になることもなく、検認の手続きも不要です。
弁護士を遺言執行者に指定していただければ、面倒な相続手続きを弁護士が行い、遺言書の内容を実現することができます。
遺言書が見つかった、遺言書を残したいといった遺言に関するお悩みがあれば当事務所にご相談ください。