(事案の概要)
相談者には、独身で子供もいない伯父がいました。
相談者は伯父とは長い期間にわたって疎遠で、しばらく会っていませんでした。
ある日、伯父から相談者に電話がありました。
伯父は相談者に、「今度、入院することになったのだが、病院から身元保証人を付けるように言われている。申し訳ないが、身元保証人になってもらえないだろうか。」と頼んできました。
相談者は、「少し考えさせてください。」と答えて電話を切ったものの、伯父とは長年疎遠であったこともあり、できれば身元保証人となることを断りたいと思いました。
相談者は、身元保証人とはどのような責任を負うのか、また、自分が身元保証人となるべきなのかを知りたいということで、当事務所にご相談にいらっしゃいました。
(解決)
弁護士は相談者に対して、以下の3つのことを説明しました。
1 入院の際に身元保証人となった人は、一般的に、次のような責任を負うことになります。
・入院費用や、損害が生じた場合の賠償金など、金銭的な債務の保証
・緊急連絡先となること
・身柄の引き受け
詳しくは、その病院の契約書にどのような責任が規定されているか、しっかりと確認するのが良いです。
2 身元保証人を引き受けるかどうかは、相談者ご自身の意思で決定することができます。お断りすることも可能です。
3 身元保証人となる親族などがいない人のために、身元保証を行う団体があります(本ページの最後にてご紹介)。
その結果、相談者は伯父に連絡して、「すみませんが、今回は引き受けることができません。」とお断りの言葉を伝えました。そして、「代わりにこういう所があります。」と、身元保証を行う団体を紹介しました。
(弁護士の解説)
「疎遠であった親族から、身元保証人になってほしいと頼まれた」という事案ですが、このような事案は決して珍しいものではありません。
身元保証人は、入院のとき以外にも、介護施設に入所するときや、賃貸住宅に入居するときなどに、それぞれ求められることがあります。
(なお、身元保証人は、「身元引受人」という言葉で表記されることもあります。)
身元保証人は、法律に明確に定められたものではないため、その責任の内容は個別の契約ごとに異なります。
一般的には、上の事案でも記載したとおり、
・入院費用や、損害が生じた場合の賠償金など、金銭的な債務の保証
・緊急連絡先となること
・身柄の引き受け
などを内容としていることが多いです。
(なお、「身元保証ニ関スル法律」という法律もありますが、これは、雇用や労働に関する契約に適用されるもので、入院や介護サービスなどに関する身元保証とは異なります。)
身元保証人となるかどうかは、身元保証人を依頼された人の自由な意思で決定することができます。
責任の内容や、依頼した人とのこれまでの関係など、様々な事を考慮して決めていただければ良いと思います。
もっとも、上の事案のように、全くの他人ではなく親族から依頼を受けるということが多いため、断りづらいと感じて、やむをえず身元保証人となっているという例もあります。
(身元保証を行う団体について)
最近では、身元保証を行う団体があります。
親族などに身元保証人を頼むのが難しい場合などは、このような団体を利用するのも一つの方法です。
当事務所の海津諭弁護士が理事長を務めております、「一般社団法人縁樹」においても、身元保証をお引き受けいたします。
親族にあまり迷惑や労力をかけさせたくない方、万が一に備えてきちんと将来の道筋をつけておきたい方などは、お元気なうちに、契約をご検討ください。
なお、こちらの団体は、当事務所経由でもご紹介可能です。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
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