【Q】遺産分割前に、相続人の一人が遺産の骨董品を処分してしまいました。
母が亡くなりました。
相続人は、私と兄の二人です。
母の遺産には、絵画や掛け軸といった骨董品があります。
兄と遺産分割協議を行った結果、骨董品は私が相続することになり、その内容で遺産分割協議書を作成しました。
ところが、遺産分割前に、兄が勝手に骨董品を持ち出し、古物商に売却していたことが判明しました。
どうしたらよいでしょうか。
【A】遺産分割は、相続開始時にさかのぼって効力が生じます。
民法では、遺産分割は、相続開始時にさかのぼって効力を生じることとされています(「遡及効(そきゅうこう)」といいます。)。
そのため、遺産分割によって遺産(骨董品)を取得した相続人(ご相談者様)は、遺産を持ち去った相続人(お兄様)に対し、その遺産の返還を求めることができます。
また、その遺産自体の返還が困難な場合には、その遺産の価格に相当する金額を、損害賠償として請求することができます。
しかし、遺産分割の遡及効は、第三者の権利を害することはできないこととされています。
事情を知らない第三者が遺産を取得している場合には、その第三者に返還を求めることはできません。
そのため、骨董品を買い取った古物商が、相続に関して詳細な事情を知らないのであれば、骨董品自体を取り戻すことは難しいと考えられます。
以上により、お兄様から、骨董品の価値分の損害賠償金を受け取る解決方法が考えられます。
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