「成年後見制度」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。
認知症を患っていたり、知的障害、精神障害があり判断能力が低下している方に対し、家庭裁判所が選任した成年後見人等がご本人の財産を管理したり、入院や施設の手続き、介護保険サービスの契約等の身上監護業務を行うというものです。
成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があり、法定後見制度は、ご本人の判断能力の状況によって「成年後見」「保佐」「補助」の3つに分類され、判断能力が常に欠けている方を保護するのが成年後見、判断能力が著しく欠けている方を保護するのが保佐、判断能力が不十分な方を保護するのが補助相当となります。
最高裁判所事務総局家庭局の令和3年1月~12月成年後見関係事件の概況(※1)によると、法定後見制度の利用者数は少しずつ増加しており、利用者数の中で「成年後見」が一番多い状況です。
また、申立てができるのはご本人、ご本人の配偶者、ご本人の四親等内の親族、市区町村長等と決められていますが、申立人で一番多いのが「市区町村長」です。
申立人で一番多いのが市区町村長であることに驚かれる方も多いのではないでしょうか。
市区町村長が申立てを行うのは、ご本人が自身で申立人となれない状況であるも身寄りがなかったり、さまざまな事情により市区町村長が申立てをした方が良いと判断した場合になります。
成年後見人等の業務は、ご本人に代わって財産の使い方から施設の選択など様々な分野の判断を求められることが多くあります。
ご本人が意思疎通可能であれば、ご本人の意思を尊重しながら支援することとなりますが、ご本人との意思疎通が困難で、成年後見人等でも判断が難しい場合は、ご家族やご本人を支援してくださっている方とご本人にとって何が最適であるかを相談し判断をすることとなります。
しかしながら、「貯めてきた預貯金を将来どのように使う予定だったのだろう」「介護が必要になった時、病院や施設での生活を希望されていただろうか」等と、ご本人でないと分からない思いが多くあるのが現状です。
成年後見制度には、これまで述べてきた法定後見制度の他に、あらかじめご本人が後見人を決めておく任意後見制度があります。
これは、ご自分の後見人を「誰にお願いしたいか」「どのようなことをお願いしたいか」という内容を、後見人をお願いしたい方と公正証書で契約しておく制度です。
認知症になったり、突然体調を崩されたりすることは誰にでも起こりうることです。
そして誰しもが、年を重ね老いていきます。
ご自身の「思い」を残すための方法として、財産管理や成年後見制度、遺言書の作成など、弁護士より様々提案をさせていただきます。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
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[参考資料]
※1:最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況 令和3年1月~12月」
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2021/20220316koukengaikyou-r3.pdf
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