時々遺言書作成を検討されている方から、「自分が亡くなった後に、残った財産をどこかに寄付したい。どういうところに寄付したら良いか」と聞かれることがあります。
生きている間に寄付するのではなく、亡くなった後に、相続人ではない方に遺産のうちの一部または全てを寄付すること「遺贈」または「遺贈寄付」といいます。
その意思は、遺言書で遺していただくことになります。
寄付する団体の選び方について
寄付する先ですが、ご自身がどのような社会貢献をされたいか、また、ご自身が困った時に助けてもらった経験などを基準に選んでいただくと良いのではないかと思います。
多くの方が、ユニセフや日本赤十字社といった団体を真っ先に思い浮かべられるのではないでしょうか。
これらは大きな災害後、個人が寄付をする先の団体としても有名ですし、活動の内容もわかりやすいため、寄付先としてはとても安心感があります。
また、たとえば世界中の子どもたちのために使って欲しいので「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」、大病を患って病院や医師たちに長くお世話になったから「国境なき医師団日本」、というように、具体的にインターネット等で検索してみるのもよいと思います。(最近は遺贈をサポートしてくださる団体もあるようです。)
自治体への寄付について
ところで、ご自身の住まわれていた自治体に寄付する場合には注意が必要です。
たとえば単に「〇〇市に寄付する」と遺されても、寄付された自治体としては、どの部署で受け取り、どのように活用するかということを協議しなくてはなりません。
実際に、そのような遺言を遺された方の遺言執行者として、自治体に遺贈の連絡をしたところ、どの部署宛てにするのか、どういった活動への寄付を希望していたかと尋ねられ、大変困ったことがありました。
その時は、ご本人の経歴から、おそらくこうした活動を支援したいのではないか、と申し出て、自治体の窓口の担当者と話し合い、自治体が新しく作った施設の庭木のために使っていただくことになりました。
またその際、自治体から、「寄付した方のお名前を刻するかどうか」ということも確認されました。
生前のご様子から、目立つことはお好きではなかったので公表しないことにしましたが、相続人の方々がその場所に赴いた際に確認できるよう、目立たない場所に小さいプレートを設置して下さったそうです。
最後のプレゼントはささやかかもしれないけれど…
相続人の方にとって、遺産をお金や不動産という形で受け取るのも、確かに嬉しいことではありますが、亡くなった方が生前に抱いていた、「社会貢献したい」という思いを実現したこと自体が誇らしく感じられ、忘れることのできない最後のプレゼントになるかもしれません。
今回は、寄付する先の選び方と遺された相続人たちの思いについて、少しだけお伝えいたしました。
次回は、遺言書にどのように書くのか、亡くなった後に不動産が残っていたらどうなるのかなど、具体的にどのような方法で遺贈寄付が行われるのかについて、お伝えできたらと思います。
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