【事案の概要】
Wさんの家は代々続く農家です。
Wさんには、長男Aさん、二男Bさん、長女Cさんの3人の子どもがいますが、長男Aさんは定職に就かず、女性の家を転々とするなど遊んで暮らしています。
一方で二男BさんはWさんと同居して、Wさんを手伝って農業に従事しています。
また、長女Cさんは、結婚して他の県で暮らしています。
Wさんの住む地域では、長男が農家を継ぎ、先祖代々のお墓も長男が守っていくのが慣習となっていますが、Wさんの長男であるAさんが農家を継いでお墓を守ってくれるとは到底考えられませんでした。
Wさんは、自らが高齢になってきたことから、自分が亡くなった後、誰が先祖代々の墓守をやることになるのかと心配になって弁護士に相談しました。
弁護士は、Wさんに対し、墓守を遺言で指定することができるということを助言しました。
Wさんは、弁護士に公正証書遺言の作成を依頼し、その中で墓守を二男であるBさんに託す旨を記載してもらいました。
【弁護士の解説】
民法では、お墓や仏壇を守っていく役割の人(祭祀主宰者)については、相続とは別に決定することとされています。
そして、祭祀主宰者の決定については、被相続人による指定があればそれに従い、被相続人による指定がなければ慣習によることとされています。
そこで、この事案のように、自分の死後においてふさわしくない人が祭祀主宰者になるのではないかという不安のある場合や、または祭祀主宰者を誰にしたいかの希望がある場合には、生前に祭祀主宰者の指定を行っておくべきです。
祭祀主宰者を事前に指定しておく方法としては、遺言書にその旨を記載しておくという方法があります。
この事案のように、公正証書遺言を作成しておけば、自筆証書遺言と比べて改ざんや廃棄などのおそれがなく、安全です。
詳しくは当事務所の弁護士にご相談ください。