(事案)
Aさんは、70代の女性であり、この度、姉のBさんが亡くなりました。
Bさんには子どもがおらず、またBさんの両親は既に他界していたため、相続人は、Bさんの夫(Cさん)とAさんの2人でした。
また、相続財産としては、預貯金と株式がありました。
Cさんは当時、介護施設に入所していました。
Aさんが遺産分割の話合いをするためにCさんのいる施設を訪ねてみたところ、Cさんは既に認知症が進んでいて、Aさんが亡くなったことも認識できていないという状態でした。
Aさんは、Cさんと遺産分割の話合いができなかったので、今後どうすればいいかということを当事務所の弁護士に相談し、遺産分割の手続を弁護士に依頼しました。
弁護士は、まず、Cさんのいる介護施設の主治医に、Cさんの診断書を作成してもらいました。
診断書には、Cさんが自分では財産を管理できるほどの判断能力を有していない、という診断結果を記載してもらいました。
そして、弁護士はその診断書をもとに、家庭裁判所に対して、Cさんについての成年後見人選任申立ての手続を行いました。
その結果、Cさんに成年後見人が付きました。
そこで、弁護士は、上記の成年後見人との間で、Bさんの遺産分割についての話合いを行いました。
遺産の分け方が決まった後は、株式を現金に換える手続についても弁護士と成年後見人とが協力して行い、遺産分割の手続を無事に完了することができました。
(弁護士の解説)
亡くなった方の相続人は、遺産を分けるために、他の相続人との間で話合いを行う必要があります。
これを、「遺産分割協議」といいます。
遺産分割協議は、原則として相続人全員が参加して行わなければなりません。
しかし、相続人のうちの一人が認知症などで判断能力を失っている場合、そのままでは、遺産分割協議を進めることができません。
このような場合は、まずは家庭裁判所に成年後見人選任申立てを行って、判断能力を失った相続人に成年後見人を付けてもらいます。
そして、その成年後見人が、判断能力を失った相続人(被後見人)の代わりに遺産分割協議に参加することとなります。
他の相続人に認知症の方がいる場合、弁護士は、家庭裁判所への成年後見人選任の申立手続を含めてご依頼をお受けすることができます。
ぜひご相談ください。